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老後の生活設計は大丈夫?年収の高さは関係ないライフプランの考え方

最近ライフプランの相談を受け付ける際に多いのが50代から65歳くらいまでの層の方が非常に多くなっています。

「テレビで年金2000万円問題を見たが、大丈夫なのか。」
「老後の資産形成を行おうと考えているがどうすればよいか」

ご自身で現状を調べたが、現実を受け入れられないといった方も非常に多くいらっしゃいました。今回はある家庭を参考にしながら、老後のマネーシミュレーションを行います。そこから課題を抽出、改善策をお伝えします。
その後に、20代から40代くらいの方が参考になるようなお金の対策も併せてお伝えしていきます。

シミュレーション家庭

  • ご主人59歳
  • ご年収は1000万円。
  • 60歳以降は嘱託社員で年収400万円で再雇用がある。
  • 退職金として1000万円の一時金がある状況。
  • 奥様59歳
  • ご年収は100万円のパート。貯金1000万円
  • お子様は2名いらっしゃり、私立の大学を卒業し、成人済み。
  • 住宅に関しては60歳でローン完済。
  • 直近の資金使途としては退職金を活用して海外旅行、家のリフォーム等を見込みたい。

•現状把握を把握しよう(収入編)

まず今回のご家庭で受け取れそうな年金の金額を算出してみましょう。
勤続40年のサラリーマンが受け取れる年金額の算出式は平均年収×0.22+78万円となっています。
仮に定年時に年収1000万円とし、年功序列で年収が上がってきたと仮定するならば平均年収は700万円ほどでしょう。
そのため受け取れる年金額は700×0.22+78万円となり、232万円となります。
ここから税金や社保関係で20%を引いたとすると、185万円となり、次の手取りは15万円ほどになりそうです。
奥様は扶養の範囲でお仕事をされているようなので、国民年金部分のみになり、78万円を受け取れ、こちらから税金を引いた月5万円ほどの支給になりそうです。
このことからご夫婦の65歳以降からの年収は手取りで240万円、月20万円となります。
2000万円を仮に65歳から女性の平均寿命である90歳まで取り崩すと仮定するならば、月に6.6万円崩すことができます。
そのため、年金と合わせた月26.6万円以内で有れば生活をしていくことができそうです。

•現状把握を把握しよう(支出編)

総務省の発表している2人以上の世帯の消費支出は約30万円ほどです。
この消費支出の計算の中には住宅ローン等の資産性の支出は一切見込まれていない金額になっています。
今回のご家庭の場合は平均よりも年収が高いように見受けられます。
生活費も平均よりも高い可能性とありますので、念のため確認をしていきましょう。
新卒の時期から約40年間で1000万円の貯蓄ということは年間25万円ほどの貯蓄ペースということになります。
ローンが年間で120万円ほどと仮定し、教育資金がかかっていた時期もあったことを加味していたとしても生活費に約30万円を支出をしていることになります。
一般的な生活水準なことは確認をすることができました。
生活費30万円、年金20万円と想定すると毎月10万円の赤字となり、年間120万円ずつ資金を取り崩すことになります。
今回のご家庭では貯金と退職金合わせて2000万円なので、17年で資産を使い切ることになります。
生活費を約4万円節約できた場合ではじめて90歳まで資産が耐えうる計算で、
現状の生活水準で生活することは困難なようです。
現状の生活水準のまま生活するためには、年金と生活費の不足額年間120万円を25年間用意する必要があります。
そのため、3000万円ほどの蓄えが必要だったことになります。
このシミュレーションは生活費のみを加味しているため、
当初のご希望だった海外旅行やリフォームは叶えることができない形になります。
その上、介護や病気での支出といったものは加味されていない状況です。
資金繰りとしてはかなり厳しく、老後にお子様に頼ることが想定されます。
不動産を売って、資金を作る方法も考えられます。
しかし、物件を売却してもローンの返済額から考えると土地の値段がほぼないため、二束三文にしかならないことが想定されます。

•夢を叶えるために60代から行える対策

今回のご家庭で目標を叶えるためにできることはどのようなことがあるのでしょうか。
基本的にどの年代のご家庭でマネープランを考える場合でも基本の考え方は同じです。

  • 収入を上げる
  • 支出を下げる
  • 運用をする

老後の収入の上げ方を考えるとすると、年収を上げることはほとんどのご家庭で非現実的です。
そのため年収以外の方法で収入を調整する必要があります。
主な方法としては2つあり、1つは働く期間を伸ばす方法、もう1つは年金の支給を遅らせることです。
働く期間に関してはシルバー人材センター等の期間を活用し、アルバイトや派遣社員として登録、収入を得る方法です。
今までの経験を生かして起業されるというアクティブな方もいらっしゃいますが、たいていの場合は5年以内に失敗し手詰まりします。
そのリスクを負うよりは就労することでの収益源を得ることが無難だと思われます。
年金支給時期を遅らせることに関しては最大70歳まで年金を受け取るのを引き延ばすことができる制度です。
70歳まで引き延ばすことによって1.42倍の金額で年金を受け取ることができますので、貯めなければならない老後分貯蓄の軽減につながります。
働く期間をのばし、老後の時間を減らすことは生活の質向上にもつながります。

支出を下げる観点ではまず固定費の見直しが挙げられます。
固定費とは携帯、ネット、家賃、保険等です。
生活水準を変えることなく金額を下げられるケースが多く、効果がすぐ現れます。

運用の観点では高齢者の場合期間が限られてしまいますので分散投資での安全な資産運用が鉄則になります。
そもそも論として、今回のご家庭の場合はメインでの運用時期をすでに逃してしまっていることが大きな失敗です。
本来運用は若い時期であればあるほど効果が高いですし、一時金を入れて投資をすることはあまり望ましい運用とは言えません。
なぜ望ましくないかの理由としては、家計の資産が一気に動くことになり、一つの金融資産の動きに人生が左右されやすいです。
また、その資産を使う予定の時期までの期間が非常に短いため、確率が収束しにくく、リスクが高まってしまうからです。
安全な運用を求めるであれば若い時期からの毎月積み立て・資産分散が望ましいです。
仮に20歳から60歳まで計1000万円を積立運用する場合を想定します。
金利を3%ほどつけられていれば非課税の場合資産が約1926万円になります。
仮に直近30年の世界株式に投資をしていた場合で言えば平均利回りは8%ほどです。
仮に8%で40年間積み立てていたとすれば約7261万となり、資産は7.2倍まで膨れ上がっていたことになります。

しかし今回のご家庭ではリスクを取りながらガッツリと運用するそのタイミングを逃してしまいました。
そのため、リスクとリターンが高い株式投資がメインになることはリスクが許容できないためメインにおけません。
比較的硬めに金利をつけることのできる債券属性の運用を主体にする必要があります。
元本の欠損するリスクを抑えながら運用することで金利を少しでもつけに行く対策となります。
そのため、利率としては2%~4%ほどの保守的運用となることになります。

・この家庭が本当に行ってこなければならなかった対策

読者の方はほとんど20代から40代前後の方ではないでしょうか。
老後の破綻を防ぎ、最低限生活のできるプランニングのために現役時期に行わなければならない対策は何だったのでしょうか。
行っておいたほうがよかったのはこういった行動になります。

  • 自身の年収と年金の関係性の確認
  • 使ってもよい資金と使ってはいけない資金の色分け
  • 行いたい生活プランの計画
  • 中長期での運用計画

例えば自身の生涯での収入と支出の関係を理解できていれば必然と貯めなければならない金額がわかってきます。
こちらを行うにはFP協会のシート等を活用するとやりやすいかと思います。

もちろんプロのFPに相談する方法もありますが、FPは何かの商品販売を行いたい人が隠れ蓑に使っていることの多い資格のため、ゆがんだ情報でのアドバイスに注意する必要が出てきます。
それにより貯金を行う金額がわかってきますので、お金を貯める計画を立てていきましょう。
お金を貯めるときには漠然と貯めるのではなく目的使途を明確にすることが大切です。
例えば車用、大学費用、老後資金用等です。
それによって短期での貯蓄になるのか中長期での貯蓄になるのかを明確にすることができます。
中長期の貯蓄になれば運用は必須で考えなければならないですので投資信託や生命保険を活用するとよいでしょう。
中期で確定的に欲しい資産に関しては投資要素を入れるより契約によって固く用意することが望ましいので生命保険。
長期運用に関しては増えることを念頭に置いた株式属性の投資信託等が良いでしょう。
若いうちから金利をつける癖をつけることによって生涯年収+アルファの資産を作ることができます。
もちろん稼いで得られる収入が一番大きくはなるのですが、不労所得を作ることを同時進行で考えることで
中長期での収支バランスが良くなっていきます。
もちろん若いうちであれば使いたいものが多ければ働いて収入を増やす対策もとれますし、支出の削減を行う場合にも
効果が長くとれるので、老後から対策するよりもずっと効果的に対策を行うことができます。

いかがだったでしょうか。
今回は実際の家計をもとにして家計のプランニング方法を見ていきました。
みなさんが考えなければならないマネープランにこのような考え方を加えてみてはいかがでしょうか。

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お金って大事だポン。 はじめての「おかねの、おはなし。」特別授業で学んだことを、 友達や家族に、おすそ分けする伝道師たぬき。