解説

日本の暗号資産(仮想通貨)20%分離課税が成立、適用開始は2028年の見込み

執筆:recoin セキュリティリサーチチーム公開:最終更新:
日本の暗号資産(仮想通貨)20%分離課税が成立、適用開始は2028年の見込み

KEY POINTS

  • 特定暗号資産の分離課税を含む税制改正法は2026年3月31日に成立しました。金商法等改正法は2026年7月15日に成立し、7月23日に公布されました。
  • 分離課税の税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)で、損失を3年間繰り越せます。
  • 適用の起点は金商法改正の施行日の翌年1月1日です。複数の税理士事務所は2028年1月1日と見込んでいますが、具体的な日付は政令による確定待ちです。
  • 分離課税の対象は、国内登録業者を通じて売却した特定暗号資産のみです。海外取引所やDEXでの売却、DeFi・ステーキング・エアドロップの収益は、最高約55%の雑所得(総合課税)のままです。
  • 改正前から保有している暗号資産にも分離課税を適用できますが、取得価額の経過的な計算ルールと特定暗号資産の具体的なリストは、まだ公開・明確化されていません。

1. ひとことで言うと:日本の暗号資産の分離課税は成立済み、ただしまだ始まっていない

情報の確度について(2026年10月10日 UTC時点)。確認済み:令和8年度税制改正大綱は2025年12月26日に閣議決定。税制改正法は2026年3月31日に成立。金商法等改正法は2026年7月15日に成立し、7月23日に公布。分離課税の税率は20.315%、損失の3年間繰越、対象は国内登録業者を通じて売却した特定暗号資産に限られ、総合課税も併存。手続き中:金商法改正の施行日と、それによって決まる分離課税の適用起点(金商法施行の翌年1月1日、2028年1月1日の見込み)。未確定:特定暗号資産の具体的なリスト、改正前から保有する暗号資産の取得価額の経過的な計算方法、ステーキングなど個別の収益の詳細な扱い。

結論から言うと、日本(国会、財務省、金融庁)が進める暗号資産(仮想通貨)の税制改正では、2つの重要な法律がすでに成立しています。ただし、新制度はまだ始まっていません。現時点で売却した場合は、これまでどおり総合課税で計算します。

新制度は、金商法(金融商品取引法。証券などの金融商品を規律する法律)の改正が正式に施行されたあと、施行日の翌年1月1日から適用されます。複数の税理士事務所は2028年1月1日と見込んでいますが、これはあくまで予想であり、法定の日付ではありません。具体的な日付は政令(内閣が定める施行のための命令)次第です。

法律・公式イベントの日付は、日本の公式資料に記載の日付です。Xの投稿時刻はUTCです。たまらん坂税理士法人の投稿の1件は2026年6月8日に投稿されていますが、本文には「今日3月31日成立」とあり、リンク先の記事の日付は2026年3月31日であるため、本稿では3月31日を採用しています。
日付出来事確度
2025年9月2日金融庁が税制改正要望「暗号資産取引に係る課税の見直し」を提出公式資料
2025年12月10日金融審議会の暗号資産制度ワーキング・グループが報告書を公表。暗号資産を金商法の規制対象へ移すことを提言。NFTとステーブルコインは対象外公式資料
2025年12月19日 08:42 UTC税法教授・税理士の泉絢也氏(@taxlaw17)がXで自民党の大綱を解説し、分離課税は「国民の資産形成に資する暗号資産」に限られると指摘税理士による解説(大綱原文を引用)
2025年12月26日令和8年度税制改正大綱が閣議決定公式発表
2026年3月31日特定暗号資産の分離課税を含む税制改正法が成立複数の資料
2026年4月10日金商法等改正案が国会に提出公式(金融庁)
2026年7月15日金商法等改正法が成立公式(金融庁)
2026年7月23日金商法等改正法が公布税理士法人の資料
2027年内金商法改正が施行(公布から1年以内)Xユーザー@WASABI20150の整理による。公式には未確認
2027年4月自己管理ウォレット内の暗号資産に対する新たな差押え手続が開始泉絢也氏、たまらん坂税理士法人による
2028年1月1日分離課税の適用開始(金商法施行の翌年1月1日)見込み。政令の確定待ち

2. 現行制度:雑所得の総合課税が厄介な理由

現在、個人が暗号資産の売買で得た利益は、原則として雑所得として扱われ、給与などほかの所得と合算して累進税率で計算されます(総合課税)。@shimokitapineの整理によると、最高税率は約55%(所得税45%+住民税10%)です。

現行制度では、日本円に換えたときだけが課税対象ではありません。同じ整理によると、ビットコインをイーサリアムに交換するような暗号資産同士の交換でも課税が発生します。つまり、日本円を受け取る前に納税が必要になることがあります。

noteによる国税庁FAQ(2024年12月改訂版)の解説によると、一定の条件を満たす場合、雑所得が20万円以下であれば確定申告が不要になるとされています。取得価額の計算方法は総平均法または移動平均法です。具体的な条件と計算方法は、国税庁FAQの原文をご確認ください。

改正後も総合課税が廃止されるわけではなく、新たな分離課税と併存します。分離課税の要件を満たさない取引は、引き続きこの節で説明した現行の方法で計算します。

3. 改正後:税率20.315%、3年間の損失繰越、経過措置

税率の内訳

分離課税の税率は20.315%で、内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。申告分離課税とは、この所得を給与などと合算せず、独立して一律の税率で計算し、自分で申告する方式です。

@shutten_crypto(財務省「令和8年度税制改正の解説」を出典としている)によると、令和9年分(2027年分)から、復興特別所得税は所得税額の2.1%から1.1%に下がり、同時に1%の防衛特別所得税が新設されます。両者は同時に始まり、付加税の合計は変わりません。そのため、合計税率20.315%には影響しません。

損失の繰越と損益通算

  • 3年間の繰越:分離課税部分の損失は3年間繰り越せると、辻・本郷税理士法人、FP総合研究所、泉絢也税理士事務所の資料がいずれも説明しています。
  • 内部通算:税務QA特集の要約によると、分離課税の内部では損益を相殺できますが、株式などの損益とは相殺できません。
  • 泉絢也氏は、暗号資産の損益通算・繰越の範囲は株式とは異なると指摘しています。詳細は専門資料や税理士の意見をご確認ください。

「繰越は確定しているのか」をめぐる異なる説明

複数の税理士法人の資料は、3年間の損失繰越は大綱と改正法に盛り込まれているとしています。一方、@shimokitapineが整理したBCCC(ブロックチェーン推進協会)の議論記事では、繰越年数や損益通算の可否はまだ確定しておらず、2027年の税制改正議論の焦点になるとしています。後者の説明は、法律がすでに成立しているとする複数の資料と一致しません。読者の方は原文と照らし合わせてご判断ください。

改正前から保有している暗号資産

泉絢也税理士事務所と税務QA特集によると、改正前から保有している暗号資産にも分離課税を適用でき、経過措置(移行のための規定)が設けられています。ただし、取得価額をどのように移行して計算するかについて、本稿で確認できた公開資料には具体的な規則が示されていません。詳細は有料の専門誌・書籍・セミナーなどで扱われていることが多く、専門資料や税理士の意見をご確認ください。

特定暗号資産:リストは未公開

大綱の原文は、「国民の資産形成に資する暗号資産に限って」分離課税を導入するというものです。どの暗号資産が特定暗号資産にあたるのか、現時点で公開されたリストはありません。泉絢也氏も大綱の解説の中で、ビットコインだけに限られるのか、ADAなどは含まれるのかと疑問を示しています。@WASABI20150の整理によると、特定暗号資産は内閣府令などで指定される見込みですが、この点は公式の確認を待つ必要があります。

4. 自分の暗号資産は対象? 課税方式は「どこで売るか」で決まる

新制度で重要なのは、どこで買うかではなく、どこで売るかです。泉絢也氏の整理では、国内の取引所で買って海外の取引所やDEX(分散型取引所)で売る場合は総合課税、逆にDEXで買って国内の取引所で売る場合は分離課税になります。無登録(金融庁に登録していない)の業者は対象外です。

出典:泉絢也(@taxlaw17)、PROnet、税務QA特集、金融庁WG報告。具体的な判断は税理士の意見をご確認ください。
取引方法課税方式
国内登録業者で特定暗号資産を売却分離課税(20.315%)
国内登録業者で特定暗号資産以外を売却総合課税
海外取引所で売却総合課税
DEXで売却総合課税
DEXで購入し、国内登録業者に移して売却(特定暗号資産)分離課税
無登録業者で売却分離課税の対象外
DeFi、ステーキング、エアドロップなどの収益総合課税(雑所得)
NFT分離課税の対象外

DeFi、ステーキング、エアドロップ

PROnetに掲載された泉絢也氏の記事によると、DeFi、ステーキング、エアドロップなどの収益は、引き続き雑所得として総合課税になります。ステーキングについて、@Web3_ExpertProは「可能性がある」という表現で総合課税になると述べていますが、言い回しはやや曖昧です。同アカウントはマイニングも総合課税とし、レンディングは取引内容によって整理するとしています。

NFT

金融庁WG報告が金商法の規制へ移すことを提言した範囲には、NFTとステーブルコインは含まれていません。分離課税は金商法の枠組みにおける特定暗号資産を対象としているため、NFTは対象外です。

二重構造は、区分した記録が必要ということ

同じ人が、分離課税と総合課税の両方の所得を持つ可能性があります。泉絢也氏は、改正後の暗号資産税制は「全体として複雑になる」と述べています。どの暗号資産をどこで売却したか、どこから移したかが記録で区別できないと、どちらの方式で申告すべきか判断しにくくなります。

5. よくある誤解と「改正を待ってから売るべきか」

よくある誤解

  • 「今年からもう20%になる」:なりません。適用の起点は金商法施行の翌年1月1日で、2028年の見込みですが、政令による確定待ちです。
  • 「すべての暗号資産が一律20%」:違います。泉絢也氏は、分離課税は「追加」されるもので、総合課税も残るため二重構造になると明確に指摘しています。
  • 「2028年1月1日はもう決まった」:@WASABI20150は2028年1月1日以降の売却分に20.315%が適用されると断定的に書いていますが、WEEXなどの資料は開始日は政令で確定する予定で、2028年1月は有力な見込みだとしています。
  • 「ウォレットに入れたままなら気にしなくてよい」:自己管理ウォレットの暗号資産は、最終的にどこで売却するかで課税方式が決まります。また、自己管理ウォレット内の資産は新たな差押え手続の対象になります(第7節参照)。
  • 「3年繰越はまだ決まっていない」:複数の資料は、すでに法律に盛り込まれていると説明しています。第3節をご覧ください。

売却を先送りする場合の不確実性

改正後を待って売るかどうかは人によって事情が異なるため、本稿では助言を行いません。確認できるのは、待つこと自体に次のような不確実性が伴うということです。

  • 適用日:2028年1月1日は見込みであり、具体的な日付は政令待ちです。
  • 価格リスク:保有している間に、価格が上がることも下がることもあります。
  • 対象となる銘柄:自分が保有している暗号資産が特定暗号資産にあたるか、リストは未公開です。
  • 経過措置の細則:改正前から保有する暗号資産の取得価額をどう計算するか、細則はまだ公開・明確化されていません。
  • 売却先:国内登録業者で売却した場合にのみ分離課税が適用されます。

政府と国会の異なる説明

泉絢也氏によると、政府は暗号資産が「国民の資産形成に資する金融商品」であることを理由に、分離課税を進めています。一方、国会は法案の可決にあたり附帯決議を付し、暗号資産投資にお墨付きを与える趣旨ではないとしています。

本節は投資や税務に関する助言ではありません。具体的な売却時期や申告方法については、暗号資産に詳しい税理士にご相談ください。

6. 今からできる準備:取引記録、取得価額、ウォレットの記録

@shimokitapineが整理したBCCC税制部会の議論(2026年10月6日のXスペース)によると、専門家は、税率が下がっても損益計算の複雑さは変わらない、あるいはむしろ増えるとみています。理由として、取引所ごとにCSVの形式が統一されていないこと、オンチェーン取引をさかのぼって確認しにくいことなどが挙げられています。以下の準備は制度の細部に左右されないため、今すぐ始められます。

  • 取引所のCSVを定期的にダウンロードする:取引所がサービスを終了すると、過去のデータを取得できなくなることがあります。海外取引所の記録も同様に保存してください。
  • 使ったことのあるウォレットアドレスをすべて書き出す:ブロックエクスプローラー(公開されているオンチェーン取引を確認できるサイト)で取引記録を確認し、保存します。
  • 取得価額を確認する:各暗号資産の取得時期、数量、価格、入手経路を整理し、将来の移行計算に備えて根拠を残します。
  • 課税方式ごとに分類する:国内登録業者、海外取引所、DEX、DeFi、ステーキング、エアドロップなど、入手元ごとに区別します。
  • 暗号資産の損益計算ツールの利用を検討する。取引が多い場合やDeFiが関わる場合は、税理士にご相談ください。
  • 今後の公式情報に注目する:政令(適用日)、内閣府令など(特定暗号資産の範囲)、国税庁FAQの更新。

税務調査のデジタル化も進んでいます。たまらん坂税理士法人の2026年10月10日 04:18 UTCの投稿によると、暗号資産の税務調査では、税務職員がKSK2(国税総合管理システム)と連携したGSS(ガバメントソリューションサービス)を使い始めています。これは同事務所自身の観察によるものです。

記録を整理する際に、シードフレーズ(リカバリーフレーズ)や秘密鍵を誰かに伝える必要はなく、伝えてもいけません。税務当局、取引所、ウォレット事業者などの公式窓口がこれらを求めることはありません。「申告」「資産の確認」「還付金の受け取り」などを名目にシードフレーズや秘密鍵を求められた場合は、詐欺と考えてください。

7. recoinの見解:課税方式が二本立てになる中で、記録と秘密鍵はどちらも重要

二重構造のもとでは、記録は金額を計算するためだけのものではありません。ある取引を分離課税と総合課税のどちらで申告するかを左右し、スムーズに申告できるかどうかも左右します。古いウォレットが開けない、取引記録が見つからないといった状況では、新旧制度の切り替え時に取得価額を説明しにくくなり、余計な税負担や申告上の困難につながるおそれがあります。

もう一つの変化は徴収手続です。泉絢也氏とたまらん坂税理士法人によると、令和8年度改正では徴収手続も改められ、自己管理ウォレット内の暗号資産も差押えの対象となり、新しい手続は2027年4月に始まる見込みです。自己管理ウォレットは、もはや放置してよい場所ではありません。

今のうちに資産の棚卸しをすることをおすすめします。自分がどのウォレットを持っているか、シードフレーズや秘密鍵を適切に保管できているか、開けない古いウォレットやログインできないアカウントがないかを確認してください。早めに対処するに越したことはありません。

ご自身のウォレットが開けない場合(パスワードを忘れた、wallet.datが開けない、古いパソコンやハードディスクに入っていたウォレット、二重暗号化、パスワードの一部しか覚えていない、など)は、recoinが復旧をお手伝いできます。recoinにはオンチェーン分析の能力がありますが、外部向けの資金追跡サービスや税務申告サービスは提供していません。第三者に盗まれた資産の回収は、取引所、ステーブルコインの発行元、捜査機関に頼ることになります。

免責事項:本稿は2026年10月10日(UTC)時点の公開情報をもとに整理したもので、投資・税務・法律上の助言ではありません。政令、内閣府令、国税庁FAQが公表された後、新しい情報に応じて内容を更新することがあります。

よくある質問

日本の暗号資産20%分離課税はいつから始まりますか?

分離課税は、金商法改正の施行日の翌年1月1日から適用されます。複数の税理士事務所は2028年1月1日と見込んでいますが、2026年10月10日(UTC)時点では、具体的な日付は政令による確定待ちです。それまでに売却した場合は、現行の総合課税で計算します。

海外取引所やDEXで売却した場合も、20%の税率は適用されますか?

適用されません。分離課税の対象は、国内登録業者を通じて売却した特定暗号資産のみです。海外取引所やDEXでの売却は総合課税になります。逆に、DEXで購入して国内登録業者に移し、そこで売却した特定暗号資産には、分離課税を適用できます。

改正前に購入した暗号資産も、新制度の開始後に売却すれば20%が適用されますか?

泉絢也税理士事務所と税務QA特集によると、改正前から保有している暗号資産にも分離課税を適用でき、経過措置が設けられています。ただし、取得価額をどのように移行して計算するかについて、公開資料には具体的な規則がまだ示されていません。取得の記録を保存したうえで、税理士にご相談ください。

暗号資産の損失は繰り越せますか? 株式の損失と相殺できますか?

分離課税部分の損失は3年間繰り越せます。複数の税理士法人の資料が、すでに法律に盛り込まれていると説明しています。税務QA特集の要約によると、分離課税の内部では損益を相殺できますが、株式などの損益とは相殺できません。

ステーキング、エアドロップ、DeFiの収益は新制度でどう課税されますか?

PROnetに掲載された泉絢也氏の記事によると、DeFi、ステーキング、エアドロップなどの収益は、引き続き雑所得として総合課税になり、20.315%は適用されません。ステーキングについて「総合課税になる可能性がある」という表現を使っているXアカウントもあります。具体的な扱いは税理士の意見をご確認ください。

自己管理ウォレットの暗号資産について、事前に何をしておくべきですか?

すべてのウォレットアドレスを書き出してオンチェーンの取引記録を保存し、各暗号資産の取得価額を確認するとともに、シードフレーズと秘密鍵が適切に保管されているかを確かめることをおすすめします。税理士によると、自己管理ウォレット内の資産は新たな差押え手続の対象となり、2027年4月に始まる見込みです。いかなる公式窓口も、シードフレーズや秘密鍵を求めることはありません。

情報源

更新履歴

初版公開。

FREE DIAGNOSIS

ウォレットにアクセスできずお困りですか?

パスワード紛失、ウォレットファイルの破損、古い端末など、状況をお聞かせください。

無料診断を開始
無料診断を開始