家の購入と賃貸には、それぞれのメリット・デメリットがあります。
【購入のメリット】「老後が安心・自由度が高い」など。
【デメリット】「住み替えしにくい・維持費がかかる・頭金や金利が必要」など。
【賃貸のメリット】「住み替えが可能、修繕の必要がない、不動産価格下落の影響を受けない、災害による資産の目減りがない」など。
【デメリット】「資産にならない、リフォームできない、老後も家賃が発生する」など。
購入派と賃貸派のメリットとデメリットは相反するものなので、どうとらえるかは本人次第で、「ライフスタイルや価値観は人それぞれで、一概にどちらがよいとはいえない」という結論になりますよね。
そりゃそうだということになるのですが、日本人の40代平均資産は「マイナス1,000万円」と言われているのを知っていますか?
このマイナス分の原因のほとんどが実は「住宅ローン」なのです。住宅の購入は人生を大きく左右する買い物です。夢のマイホームと言えば聞こえはいいですが、一歩間違えば人生が壊れかねません。貧乏になる一番の原因は家の購入で、ローンで苦しんでいます。
マイホームの持ち方について、世界と日本の現状の事実に基づきながら、家の購入or賃貸の判断に役に立つ情報をピックアップ!
日本は人口減少の真っ只中なのに、毎年100万戸近い新築をたてている
みなさんご存知の通り、日本は少子高齢化で、人口減少が止まりません。高度経済成長の時に、どんどん家を建てたものが古くなり、空き家問題も聞いたことがあるかと思います。
2019年の日本の総世帯数はピークを迎え、以後ずーっと減少していく予想がされています。人が減り、昔の家がどんどん余り、それにも関わらず新築をバンバン建てていたら家って余りますよね。余るということは価値が下がっていくということです。
- 人は減り、高度経済成長の時の家が余っている
- オーバーハウス(家余り)状態だと、家の価値は下がる
- 住まい手に主導権がくる
新築マイホームの99%は「死の資産」?
日本では家を購入する人の約80%が新築で家を購入しています。中には資産的価値と考えている人もいるでしょう。しかし、日本の新築物件の99%は「死の資産」なのです。
新築物件は、例えば本来2100万円の価値しかない物件に販売会社が高い手数料を上乗せして3,000万円で売りに出されています。本来の価値よりもかなり高い値段で買わされているのです。(建築会社も利益をあげないといけないので当然ではありますが)
とはいえ、購入した段階で値段が下がってしまい、買った瞬間に900万円の損をしているのをどう捉えるか?ということを認識しましょう。
売ればいいでしょ?と思いますが、人が減っていく中で競争はどんどん激しくなり、簡単に売れません。
価値が上がっていく家はほんの一握り。世界の常識と逆をいく日本
世界の常識では、家を買うと値段が上がっていきます。だから、世界では家は資産になります。資産とは将来的にでもいいので、買った価格以上に金銭的価値をもたらせてくれるものです。でも日本は家の価値が下がっていく珍しい国で、購入した瞬間に中古物件になり、どんどん下がります。
日本の場合、価値が上がっていく物件は1,000軒中3軒程度で、家がほとんど資産になりません。仮に価値が上がる物件があったとしても、投資家が取り合っているため一般人が目にすることはめったにありません。
日本の家は住んだ瞬間に下落し、価値が上がることはほとんどない
国は労働力を確保するために、家を買ってほしい
世界共通の認識として、労働してくれる人を効率よく長期間労働してもらおうと思ったら、家を持つというのが一番いいんです。
なぜならば「家のために長い間一生懸命働いてもらう」ことができるのです。先進国になっている国は、政策として住宅ローンを組ませる設計をします。日本でも住宅を購入する際に住宅ローンの期間が10年以上の場合に、10年の間ローン残高に応じて所得税や住民税が控除される制度があります。
35年ローンで家を買うのは、人生の35年分を使って買っている
物を購入するとき、私たちは働いて稼いだお金を使っています。その稼いだお金は私たちが働いた時間の対価なのです。そして35年のローンを組む場合、35年分の時間を支払っていることになるのです。ローンを組んで家を買うときは、自分の人生をたくさん使って購入しているという認識を持ってほしいです。
維持費でもう一件家が買える?持ち家は、意外にお金がかかる
新築の家はだいたい購入価格の3割損をすると思ってください。2100万円の価値の家を3,000万で買ったらその瞬間に900万円の損をしたことになるのです。そして、3,000万円で買った家で1%のローン金利だと、最終的に金利を600万円程度支払うことになります。
さらに火災保険や固定資産税も払うことになります。固定資産税は住宅ローン減税が終わったら結構高いです。
そして、家を買ったらメンテナンスが必要になります。10年おきに外壁のペンキを塗り替えたり、屋根や水回りの修繕も当たり前のようにかかってきます。35年間で諸々修繕費が1,000万程度かかるのです。
販売店に払う手数料900万円にローン金利600万円、そして修繕費の1,000万円を合わせると家がもう1件買えてしまいます。意外に自分の家を持つというのはお金がかかるのです。
仮に修繕費が1,000万かからなかったとしても、金利や手数料を見ると高いですよね。
「賃貸より買ったほうがお得」は魔法の言葉
賃貸の場合、実際にかかる維持費は家賃だけです。火災保険料や更新料はありますが、だいたい2年に1回支払うだけですし、エアコンや給湯器などが壊れたとしても大家さんが直してくれます。家自体のメンテナンスを負担しなくていいのですし、家族構成によって気軽にすみ変えられるのも一つのメリットです。
「毎月家賃7万円を支払うより、家を買えば払うたびに自分のものになっていきますよ。」と不動産屋さんはよく言ってくると思います。借りるより買ったほうがお得というのは半分正解で半分間違いです。
もし、購入した家が買った金額以上の価値になる家を買うなら購入するのは正解です。「借りるより買ったほうがお得」は買った瞬間に価値が下がる日本では通用しないのです。
また、住宅販売の営業マンは仕事ですので、購入ハードルを下げることを提案しますが、資産価値の減少のことについて理解している人は意外に少ないです。自分で知識をつけておくことはいうまでもありません。
- 35年ローンを組むということは35年分の時間を先に支払うということ
- 「家がほしい」という欲求と、実際のお金のバランスをしっかりと制御しながら判断する
世界一の投資家の家は320万円の「中古物件」
引用:Bloomberg
世界一の投資家ウォーレンバフェットは、60年前に購入した320万円の家に住んでいます。
価値に敏感な人たちは資産の購入に関してはとても敏感で、価値あるものを買うことに関しては天才的です。そして、価値に敏感な投資家たちが選ぶ家は中古物件なのです。
本来、負債ではなく資産を買っていかないといけないのですが、日本においてマイホームの購入は資産を買うのとは真逆の負債を買っているのです。
家をお得に買う方法としては「中古を買うのが一番」です。中古物件はリセールバリュー(売る時の値段)がいいですし、家は築15年~20年で価格の下落が落ち着きます。
- 世界トップクラスの富豪も、中古物件に住む
- 家の価格下落は、構造にもよるが築15年~20年で落ち着く
価値は人によって違う。金銭的価値と心理的価値のバランスを考えて購入しよう!
新築の家において金銭的価値はないに等しいです。35年という未来の時間を支払ってわざわざ負債を買っているのです。
しかし、家を買ってはいけないと言っているのではありません。(ここ大事!)家を買うことが金銭的にマイナスだとしても、機能的価値や心理的価値はあります。
例えば広い居住スペースや賃貸ではできない家の中を好きにカスタマイズしたり、小さい子どもがいて、広い家の中を好きなように遊ばせてあげられるとか、所有欲が満たされたり、充足感が得られたりすることはあると思いますし、リラックスする時間が増えることで、仕事が頑張れて結果として収入が増えるという場合もあるでしょう。
また、「帰るべき場所がある」というのは精神面で安定をもたらします。家を買うことで失うものはありますが、得られるものもちゃんとありますが、感情と数字は分けて最終的に購入の判断をしましょう。
家の購入は人生を左右するので、しっかりと検討しよう!
住宅は人生を大きく左右する買い物の一つで、金銭的価値と機能的価値、心理的価値をよく考えて購入を検討しましょう。
新築で買う場合は、本来の価格から30~40%上乗せされた価格で売られているため、はじめから損をしているという意識を持つことが大切です。
そして、家を購入する方は選択肢に中古物件を入れましょう。中古物件は新築に比べてリセールがすごくいいですし、リフォームすればとてもきれいになります。もちろん、実際に住むので金銭的損得だけで持ち家か賃貸かなどを選ぶ必要はありませんが、ただ、自分の人生の大部分を消費して家を買っているという認識は持って選択してほしいだけです。
私の結論としては、「安い中古物件で、負担が少なく早期返済が可能であれば購入」でもいいと思います。
なぜならば、やはり老後対策です。大きな決断するときは、先を見通し、逆算することが大切です。定年退職後、基本的には年金生活者となる人がほとんどです。働くにせよ若い世代に比べて収入は大きく下がります。
老後というのは、若いうちに貯めた資産を切り崩して生きていかなければならない年代で寿司、不測の事態も起こりやすいのはいうまでもありません。
医療や生活環境が発達するのはとてもいいことなのですが、平均寿命は、男性81歳、女性87歳まで生きていくとなると若いうちに設計したレールがとても大切になってきます。
家族なりの答えを見つけるためのお手伝いができれば幸いです!
- 金銭的価値と機能的価値、心理的価値をよく考えて購入検討
- 安い中古物件で、負担が少なく早期返済が可能であれば購入
- 家族なりの答えを【数字と感情を分けて】決める

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